本日付けの上毛新聞と朝日新聞に、桐生警察署長が、9月7日、桐生市に住む指定暴力団住吉会系組幹部の男(52)に対し、暴対法に基づいて、桐生市内の会社員男性(47)に対する高金利の取立を止めるよう中止命令を出したことが報じられています。
県警組織犯罪対策一課によると、この会社員男性は組幹部の男から、平成22年12月頃から平成23年10月頃にかけて、計6回にわたり、合計45万円を借りたとのことです。組幹部の男は、平成27年7月まで毎月2~3割の利息を付けた返済を迫り、法定利率を大幅に超える利息を受け取ったとのことです。
暴対法9条は、指定暴力団員が威力を示して、利息制限法1条1項に定める制限利息を越える利息の支払を要求することを禁止しています(同条6号)。今回の事案は、これに該当したため取立を止めるよう中止命令が出されたことになります。
ところで、指定暴力団員を含む暴力団員は、様々な方法により違法な収益を得ています。例えば、恐喝、詐欺、窃盗など。そのひとつに、貸金業法・出資法違反があるというデータがあります(警察庁組織犯罪対策部「平成25年の暴力団情勢」より、暴力団構成員等に対する組織的犯罪処罰法(マネーロンダリング関係)の運用状況(25年・前提犯罪の内訳・件数))。つまり、暴力団員が高利貸付により違法な金利を稼いでいるというデータです。
組織的犯罪処罰法の運用状況に関する上記資料には、18罪種の前提犯罪が掲載されていますが、そのなかにあって貸金業法・出資法違反は、売春防止法違反、詐欺に次いで、常習賭博等を並んで、3番目に運用件数が多い犯罪類型となっています。
そこから見えてくるのは、暴力団員の多くが高利貸付を「しのぎ」の手口として利用しているという実態です。