本日付けの新聞に、暴力団員であることを隠してゴルフ場を利用したとして、県警組対1課と前橋、渋川両署は、11月23日までに、詐欺の疑いで、指定暴力団稲川会系組長(51、高崎市)ら5人を逮捕したという記事が掲載されています。県警によれば、暴力団員の利用を約款で禁じているゴルフ場を利用したとして暴力団員を詐欺容疑で摘発したのは県内で初めてとのことです。 事案は、県警によれば、組長ら5人は、平成29年5月31日と同年6月15日、暴力団の施設利用を約款で禁止している北毛地域のゴルフ場で、暴力団員という身分を隠してプレーを申し込み、施設を利用したというものです。5人は、プレー申込時に、暴力団ではないことを確認するゲストカードに署名したとのことです。
平成29年11月11日付けの上毛新聞に、館林署が、同月10日までに、暴力団対策法に基づき、指定暴力団稲川会系組幹部の男(58、埼玉県熊谷市)に対し、館林市の男性(49)に組への加入を強要しないよう中止命令を出したことが掲載されています。 事案は、県組対1課によれば、組幹部の男は、同年10月下旬、館林市内の組事務所において、暴力団関係者である知人に金を借りたり仕事を斡旋してもらおうと訪ねてきた男性に組事務所への加入を強要したというものです。 暴対法は、指定暴力団員が、人を威迫して、その者を指定暴力団等に加入することを強要若しくは勧誘することを禁止しています(同法第16条第2項)。少年に対しては、単に加入を強要若しくは勧誘するだけの行為も禁止されています(同条第1項)。 今回の組幹部の行為は、同法第16条第2項に該当すると判断されたようです。
10月20日付けの上毛新聞に、高崎署が、10月19日、暴力団対策法に基づき、指定暴力団松葉会系組員の男(36、高崎市)に対し、同市の男性(32)に組への加入を強要しないよう中止命令を出したことが掲載されています。 事案は、県警組対1課によると、組員の男は、今年6月下旬、男性に「俺の舎弟になれ」などと組への加入を強要したというものです。組員の男は男性の顔や頭を殴ったとして同年9月に傷害の容疑で逮捕されています。
本日付けの新聞に、県警組対1課と安中署が、9月25日までに、県暴排条例に基づき、ともに安中市の神戸山口組系組幹部の男(51)と同組員(47)、同市にあるガソリンスタンド運営会社(前橋市)に対し、それぞれ勧告を出したとの報道が掲載されています。 事案は、県警によれば、組幹部ら2人は、平成29年6月、暴力団の活動を助長したり運営に資する目的で、このガソリンスタンドに洗車料金など7万3000円相当分を優遇させたというものとのこと。県暴再び同様の行為をした場合には、施設名や住所、代表者名が公表されると報道されています。 事業者による暴力団員への金品等の供与については、県暴排条例は、暴力団員等がこれを受けることは勿論禁止していますが(同条例第18条は、供与を受けることのほか、供与をさせること、要求すること、受ける約束をすることも禁止しています)、同時に、事業者が供与すること、その申し込みをすること、その約束をすることも併せて禁止しています(同条例第17条)。これは、暴力団排除を群馬県のみならず、県民、事業者全体で取り組みましょうという理念の表れと言っていいでしょう。 同条例第17条は、「事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等・・・に対し、情を知って暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる金品その他の財産上の利益(以下「金品等」という。)の供与をし、又はその申し込み若しくは約束をしてはならない。」と規定しています。今回の洗車料金優遇は、財産上の利益ですから「金品等」に該当することになります。同条例第23条は、「公安委員会は、違反行為(注:第17条違反はこの違反行為になります)があった場合において、・・・当該違反行為をした者に対し、必要な勧告をすることができる。」としています。今回の勧告は同規定に基づくものです。同条例第24条によれば、「公安委員会は、・・・勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に従わなかったときは、・・・その旨を公表することができる。」ことになっています。同規則第10条には、公表の方法が規定されており、公表するのは当事者の氏名及び住所並びに公表の原因となる事実とされています。
9月21日付けの上毛新聞に、群馬県公安員会が、9月20日、暴力団対策法に基づいて、渋川市在住の指定暴力団松葉会系組員の男(45)に対し、金品要求など財産上の利益の供与を要求しないよう命じる再発防止命令を出したことが掲載されています。期間は1年間とのことです。 県警によると、この組員の男は、昨年12月に同市の女性、今年2月に同市の別の女性に、それぞれ金品を要求した事案とのことです。 そのようなことから、公安委員会は、この組員の男が、更に反復して、当該被害者やそれ以外の女性などに金品要求を行う恐れがあると判断して再発防止命令を出したと考えられます。 なお、この命令に違反した者は、「3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定されており(暴対法第46条第1号)、違反者には刑罰が科されることになっています。
9月8日付け及び同月10日付けの新聞紙上に、群馬県公安委員会が、同月7日、前橋市を拠点に活動する指定暴力団員等と店を使わせる契約を結んだとして、同市内で割烹を営む会社に対し、群馬県暴力団排除条例に基づく勧告を出したことが報道されています。 事案は、県警によれば、店側は、4月下旬に暴力団員らの予約を受け付け、5月中旬に組員ら約50人が飲み会を開いたというものです。 群馬県暴排条例は、暴力団員による不当な行為を防止し、及びこれにより県民生活又は県内の事業活動に生じる不当な影響を排除するため、暴力団排除に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、暴力団排除に関する基本的施策、青少年の健全な育成を図るための措置、暴力団の威力を利用することの禁止等について定めることにより、暴力団排除を推進し、もって県民の安全で平穏な生活の確保に資することを目的(同条例第1条)として、平成23年4月1日から施行されています。 同条例の排除対象となる暴力団は、暴対法第2条第2号に規定する暴力団であり(同条例第2条第1号)、「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長する恐れがある団体をいう」(同法第2条第2号)とされています。公安委員会の指定があることは必ずしも要件とはされていません。同条例で言う暴力団員とは、暴対法第2条第6号に規定する暴力団員であり(同条例第2条第2号)、「暴力団の構成員をいう」(同法第2条第6号)とされています。 ところで、同条例では、事業者の責務として、「その行う事業に関し、暴力団との一切の関係を遮断するよう努める」ことが規定され(同条例第6条第2項)、そのための具体的施策として、施設利用契約の禁止が規定されています(同条例第20条)。すなわち、「事業者のうち、旅館、ホテル、ゴルフ場その他の多数の者が利用する施設の運営又は管理を行う者であって、公安委員会規則で定めるもの(これを「特定事業者」と呼びます。)は、情を知って暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる当該施設の利用の契約を締結してはならない」(同条第1項)とされています。 同条例第20条の「特定事業者」とは、次に掲げる事業者とされています(群馬県公安委員会規則第4号(群馬県暴力団排除条例規則)第2条)。(1)旅館営業又はホテル営業を行う事業者、(2)ゴルフ場の運営又は管理を行う事業者、(3)興行、会合、会議その他の行事の用に供する会堂、広間その他の多数の者が集合する施設の運営又は管理を行う事業者 今回の勧告は、割烹を営む会社は特定事業者であり、組員らの飲み会利用が上記施設利用契約の禁止に該当するという判断に基づくものと推測されます。
8月2日付けの朝日新聞によれば、群馬県警は、8月1日、富岡市在住の指定暴力団山口組系組員の男(33)に対し、暴力団対策法に基づく中止命令を出したとのことです。 事案は、県警組対1課によれば、組員の男は、7月上旬、富岡市の無職の男性(29)に対し、「今月も頼むよ」などと言って「用心棒代」を要求したというものです。ところで、この組員は、昨年、この男性の車両購入を仲介をしたようですが、その際、「今後も面倒を見る」などと言い、その後約1年にわたり、毎月10万円を支払わせていたようです。 無職の男性は、車の購入にあたり組員の男に一時的には世話になった可能性はあるかもしれませんが、そのことがきっかけで約120万円という大金を支払わされてしまったことになります。 よく、暴力団を「利用しない」ことが大切と言われます。公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センターは、暴力団追放のため「三ない運動」(※)を推進しています。その「三ない運動」のひとつに、「暴力団を利用しない」があります。暴力団を利用すると、逆に「金ずるにされる」おそれがあるからです。 ※最近は、「三ない運動+1(プラスワン)」で、内容は「①利用しない、②恐れない、③金を出さない、④交際しない」というものです。
8月1日付けの上毛新聞によれば、太田署は、7月31日、暴力団対策法に基づき、指定暴力団神戸山口組系組幹部で太田市在住の男(36)に対し、同市在住で知人の外構工事業を営む男性(35)に組加入を強要しないよう中止命令を出したとのことです。 暴力団対策法第16条2項は、指定暴力団員が、人を威迫して、指定暴力団等に加入することを強要し、勧誘し、指定暴力団等から脱退することを妨害することを禁止し、同法第18条1項は、指定暴力団員が16条に違反する行為をしており、その相手方が困惑していると認める場合は、公安委員会は、当該行為の中止を命じることができると規定しています。 今回の中止命令は、この規定の基づくものと推測されます。
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